ケースルクト法の治癒率(抜髄)

K.SRCT法による抜髄症例の予後

根管治療を行う場合大きく分けて2つの場合が有ります。

  1. 抜髄治療 歯髄は炎症を起こしているものの、壊死まっしぐらの場合に歯髄を取り除く治療方法。歯科医師の手が一度も入っていないケース
  2. 感染根管治療 歯髄が完全に壊死をしてしまっているが、歯科医師の手が一度も入っていないケースと、再治療のケースに大別されるます。

今回は、K.SRCT法による抜髄治療の予後について説明します。

この統計はケースルクト法を行っている小机歯科医院での2010年から11年間の抜髄症例の統計です。最初のレントゲンは殆どの症例でありますが、数年後のレントゲン写真となると、なかなか有りません。なぜならば、研究機関ではないのでその部分を数年後に撮影する訳には行かないからです。多くは、オルソパントモグラフやCTに偶然に映り込んでいる画像で判定しました。
総症例数 251歯

症例数 平均経過年数 評価1 評価2 評価3 評価4 評価5 成功率(%) 評価平均(5段階)
単根 56 5Y4M 0 1 15 22 18 98.2 4.02
単根即時根充 54 6Y1M 1 2 3 27 21 94.4 4.2
小臼歯 55 5Y10M 0 2 8 25 20 96.4 4.15
大臼歯 86 5Y5M 2 3 10 35 36 94.2 4.16
平均 95.8 4.13

評価1:術後に明らかに根尖病変を認める症例と抜歯された症例
評価2:術後に小さい根尖病変を認める症例
評価3:術後に根尖病変を認めないが瘢痕または、歯根膜腔の軽度拡大を認める症例
評価4:術後の単純レントゲン撮影で問題を認めない症例
評価5:術後のCBCT撮影で問題を認めない症例

評価1、2を失敗と定義(咬めても)

結果

95.8%が治癒。

しかし、選定症例としては、ケースルクト法として根尖まだしっかりと根管充填が規定通りできている症例のみを選んでいます。実際に、数症例、根管充填が不確実な症例がありましたが、それらを見ると半数程度に根尖病変が見られました。しかし、症例数が少なく、統計学的な意義は見出せませんでした。

この観点からも、根尖孔への的確な充填が一番重要だと改めて思うのです。ただ、日本の健康保険の根管治療の診療報酬は世界最貧国以下ですので、このレベルでの治療はなかなか健康保険では難しいのが現状です。

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